佐藤琢磨とデイル・コイン・レーシング・ウィズRWRチームにとって、インディアナポリス500は残念な結果に終わった。2週間のうちのほとんどを通じ、No.51をつけたダラーラ・ホンダは強豪の一角に数え上げられていた。ところが、レースではスピードが伸び悩んだため、チームは最高の結果を求めてイチかバチかの勝負に出ることを決める。残念ながら、この戦略は裏目に出てしまい、2度の優勝経験を持つ日本人ドライバーは、トップ10フィニッシュは確実と思われていたにもかかわらず、25位でチェッカードフラッグを受けたのである。
「とてもガッカリしましたが、深く考えていくうちに、だんだんと複雑な心境になっていきました」と琢磨。「デイル・コイン・レーシングとともに500を戦うのは今回が初めてですが、何ごとにも理由というものはあって、慎重に解析してようやく理解できるようになることもあります。どうやら僕たちは自信を持ちすぎていたようで、特にローダウンフォースでの走行については傲慢だったとさえいえるかもしれません」
土曜日に決勝が行われたインディGPが終わると、翌週の火曜日には500のプラクティスが始まる。水曜日には雨が降ったが、プラクティスは木曜日にも続いた後、ファスト・フライデイを迎えた。琢磨はここまで、連日トップタイムを叩き出したのである。「とても順調でした。プラクティスに先立って行われたオープンテストでは本番用のスーパースピードウェイ・マシーンを走らせていなかったので、初日はほとんどシェイクダウンのような状況でした。ギアボックスを始めとする多くのパーツが共通ですが、手元にある最高のものを500のためにとっておいたのです。初日、僕たちはトップタイムを記録しましたが、スピードウェイでのプラクティスはあくまでも目安のようなものだと肝に銘じていました。そうしたスピードは自分ひとりで出せるものではなく、トウ(スリップストリーム)をしっかり使わないと記録できませんが、それとともに良好なパッケージが必要です。ドラッグを減らしたときに、マシーンのバランスが良好な範囲にあることが重要なのです」
「水曜日には雨が降ったので、ファスト・フライデイまでには実質的に2日間のプラクティスしかありませんでした。ここでようやくエンジンのブースト圧を上げ、予選シミュレーションを行いますが、それとともにレースカーの仕上がりも良好でなければいけません。したがって、木曜日はものすごく重要になりますが、この日は気温が高めになりました。僕たちはダウンフォースのレベルなどを確認すると、またもやファステストラップをマークします。すべては順調で、全般的なDCRのセットアップについても理解が進みました。ファスト・フライデイを迎えるまで、僕は次第に機嫌がよくなっていきました」
「ファスト・フライデイもうまくいきました。この日はとても暑く、ものすごく強い風——20mph(約32km/h)くらい——が吹き荒れていました。とてもトリッキーなコンディションで、予選シミュレーションを何度も成功させたドライバーは決して多くありませんでした。最初の3ラップはフラットアウトでも走れます。ただし、そこまでです。最後のラップはバランスに問題が起こって十分なグリップが得られなかったうえに、風が吹いて気温も高かったのです。最終的に、もう1度速いラップを試してみると、最後の4周目は全開で走りきれないような感じがしました。そこでスロットルペダルを戻したところ、ものすごい勢いでスピードが落ちていきます。でも、土曜日と日曜日は気温がずっと下がりそうだったので、僕たちは楽観的に捉えていたのです」
琢磨は、予選初日の土曜日に行なわれるセッションを突破し、トップ12人が出走する日曜日のセッションに進出することが確実視されていた。さらにいえば、ポールポジションを賭けて6名のドライバーが挑む日曜日のシュートアウトに進出するとも予想されていた。ところが、驚いたことに、5人が出走したチップガナッシのうちの4名が他のドライバーを圧倒し始めたのである。「それまで、ガナッシは手の内を見せていなかったといえるでしょう。レイホールに所属していた頃、『僕たちには単独走行での速さがないから、土曜日の午前中はプラクティスにあてている』と言い張っていました。ただし、僕たちはファスト・フライデイでも、まともに走ってパフォーマンスを発揮できたので、DCRのマシーンはインディの予選でも速いと信じていたのです。プラクティスを走らなければメカニックたちがよりていねいにマシーンをメンテナンスする時間が生まれるいっぽう、止まらずに走り続ければ予選までにマシーンの温度が上がってしまうことになります」
「ただし、土曜日は気圧が大幅に上がったうえに気温はぐっと下がって、空気密度が大幅に大きくなりました。おかげでギアリングの計算を誤り、パーフェクトとはほど遠い状況となりました」
最初の走行でNo.51は10番手に相当するタイムをマークしたが、直後にアタックするマルコ・アンドレッティが走行の準備を始めてからも琢磨がコース上に留まっていたため、琢磨のタイムは抹消されてしまう。この結果、琢磨はほかの数人のドライバーとともに2度目のアタックを行なわなければならなくなる。ここで琢磨は劇的な走りでトップ12に食い込んだが、順位はまさにその12番手だった。
「ちょっと信じられませんでした。予選アタックを行なっているときは、そのドライバーがコースを占領できます。アタックを終えた僕は、続いてアタックするチームメイトのデイヴィド・マルケスに無線で状況を知らせるとともに、効率的にマシーンを冷やすためにウォームアップ・レーンではなくコース上を走行することにしました。エリオ・カストロネヴェスも、これとまったく同じことをしています。けれども、マルコが意外なほど早く走り始めたために、僕たちは同じタイミングで走ることになってしまったのです。そこで僕の最初のタイムは抹消され、続いて雨が降り、路面温度はどんどんどんどん上がっていきました。したがって、トップ12に入るのはとてもチャレンジングなこ状況でした」
「2回目の走行ではたくさんのことが起こりました! 最初の走行ではダウンフォースが大きすぎたうえにギアリングも正しくなかったので、僕たちはギアリングを最適にあわせるとともに、ダウンフォースを大幅に削り取りました。軽いパニックを起こすくらいでしたが、ドラスティックにセッティングを変更したのです。けれども、チームメイトのデイヴィド・マルケスが順位を上げて12番手に食い込んでいたので、僕たちは自信を抱いていました。1周目と2周目はなんとかなりましたが、完璧とはいえませんでした。ターン2は極めてチャレンジングで、ラップ3ではアペックスまで理想的なラインで下がっていったのに、車体が浮き上がりそうになるくらいの横風が前輪付近に吹きつけたのです! このとき、僕はスロットルペダルを全開にしようとしていたので、これは困ったことになるぞとすぐに思いました。コーナーの出口でマシーンはウォールに接触したため、ステアリングが少しアウト側にずれてしまい、僕の右手は下がる格好となりました。けれども、僕は右リアタイヤが振動していないことを確認するとともに、タイヤの空気圧センサーに異常がないかをチェックしました。結果的にターン3では問題なく、僕は走り続け、なんとかトップ12に食い込みました。あれは、とてもとても際どい状況でした!」
土曜日、琢磨はNo.51のマシーンを10番グリッドに並べた。決して悪くはないが、期待の大きさに比べれば失望すべき結果だったといえる。「僕たちはとても安定していました。けれども、速さが傑出していたわけではなく、ただ4ラップのスピードが一定だったのです。とても満足できたとはいえませんでした」
「ガナッシのマシーンは、ダウンフォースを削るたびに、どんどん速くなっていきました。誰も彼らに追いつけません。僕たちはスコット・ディクソンのタイムを垣間見ましたが、それは恐るべきものでした。とても追いつけるようなスピードではなかったのです。ややショックでさえありました。彼らはなにしても、素晴らしい結果を出しました。僕たちには自信があって、フロントロウに挑めると思っていただけでなく、ポールポジションさえ可能だと思っていたのです」
プラクティスは月曜日にも行なわれ、琢磨はここで4番手タイムを記録。金曜日のカーブデイには3番手となった。「僕たちのマシーンは強力なパフォーマンスを披露していました。タイムチャートのトップはチップガナッシが占めていましたが、僕たちもいいスピードを手に入れているように思われました。僕たちは慎重に、でも確実に前進していきました」
日曜日にグリーンフラッグが振り下ろされると、ウィル・パワーが前へと突進して数台をパスしたため、琢磨は11番手に後退。さらに4ラップ目にはサンティーノ・フェルッチに先行され、琢磨は12番手となった。最初のスティントの半ばを迎え、琢磨がパワーを攻略したあたりでレースは落ち着き始め、最初のピットストップが行なわれるようになる。その直後にライナス・ヴィーケイがクラッシュしてこの日最初のイエローフラッグが提示されたが、このとき琢磨は9番手につけていた。「スタートは、ベストとはいえないものです。素晴らしいスタートを決めたウィルは先行できたものの、1列前のグリッドに並んだマシーンがまるで壁のように立ちはだかり、どこにも行けませんでした。やがてレースの流れが落ち着いてくると、順位を上げるのがとても難しくなります。トップグループのドライバーたちは、比較的簡単にポジションを入れ替えているように見えましたが、3番手から後のドライバーは、前を走るクルマの影響でとても難しい状況でした。僕自身は、自分のマシーンが特別に強力とは思っていなかったので、レースの最後の20分にフォーカスしてマシーンをアジャストすべく、バージボードやウィッカーズを使ってダウンフォースをどんどん減らしていきました。スタート前にパドックを見て歩いたところ、僕たちのマシーンがいちばんダウンフォースを削っているのは明らかでした。僕のプランは、自分が燃料をセーブできれば、集団がばらけたときに1台ずつ抜いていけるというものでした」
最初のリスタートで琢磨はフェリックス・ローゼンクヴィスト、トニー・カナーン、フェルッチらを次々攻略して6番手に浮上。ほどなく、カラム・イロットのクラッシュでこの日、2回目のイエローが提示されるまでには、ローゼンクヴィストとカナーンに先行されて8番手となっていた。「ターン1では4ワイドになり、3台をまとめてオーバーテイクすると、そこからチャレンジを始めました。この時点では、レースリーダーよりも僕のペースのほうが速かったので、前を走る集団に追いつこうとしました。けれども、やがて2度目と3度目のイエローが出てしまいます。さらにピットストップでちょっとした問題があって、10番手まで後退しました」
その3回目となるイエローはロメイン・グロージャンのクラッシュが原因だったが、これに続くピットストップが終わると琢磨は9番手に駒を進めていた。そして競技が再開されて数周の間に、琢磨はエド・カーペンターをパスして8番手に浮上。ここで問題だったのは、このイエロー中に行なわれたピットストップは、ローダウンフォースで走って燃費を稼いでいるドライバーにとって不利に作用したことにある。というのも、これさえなければ、他のドライバーがグリーン中にピットストップをしなければいけない可能性があったからだ。「僕は燃料をセーブしながら走っていましたが、こうした努力は水泡に帰し、基本的にスタート直後と同じ状況となりました。イエロー中にピットストップが行なわれると、僕たちの戦略を台無しになります。しかも、僕はトラフィックのなかであまり速くなかった。これはあらかじめわかっていたことですが、僕たちはリスクをとりにいったのです。この、わずかなダウンフォースでも生き残れると考えていましたが、気温、路面温度、トラフィック中のタービュランスなどがもたらす影響を、僕たちは過小評価していたのです」
レース距離の3/4を目前としたところで、グリーン中にピットストップを行なう事態となった。少しでもロスタイムを削り取ろうとした琢磨はピットボックスからオーバーシュート。14番手へと後退する。続いてスコット・マクラフリンがクラッシュしてイエロー中のピットストップが可能になったため、DCRはNo.51をピットに呼び寄せ、できるだけ多くの燃料を給油するという賭けに出る。このとき、残り周回数43ラップ。グリーンフラッグが続いた場合、現実的に走行できるのは35ラップほどだが、このままフィニッシュまで走り続けるという戦略なのだ。
「もしもグリーンのままであれば、この戦略は成立しません。ただし、あと1回だけイエローが出れば、フィニッシュできる可能性が浮上します。真正面からの対決では、僕たちに勝ち目はありません。そこでチームは燃費レースに賭けることにしたのです。僕もイエローが出ることを期待していました」
26番手となっていた琢磨は、グリーンフラッグが振り下ろされてから数周の間にジャック・ハーヴェイ、アンドレッティ、ジミー・ジョンソンらをパスして23番手に浮上する。ただし、燃費走行にあわせてペースを落とした結果、アンドレッティとジョンソンに抜き返されてしまう。ここで、琢磨の前を走っていたドライバーのほとんどが最後のピットストップを実施。15ラップを残して琢磨は4番手にポジションを上げる。やがて、ピットストップを行なったドライバーが抜き返していったが、それでも琢磨は5番手に踏み止まっていた。しかし、連続で36ラップ走行したところでこの戦略を諦め、琢磨はピットに飛び込む。ここで、信じられないことにジョンソンがクラッシュし、コーションとなったのである。
「燃料をスプラッシュしなければいけなくなったところで、イエローが出ました。やっぱり!という感じです。いずれにしても、このタイミングでは遅すぎます。でも、もしもアクシデントが10ラップか15ラップ前に起きていたら、思いどおりにことが運んでいたはずなので、本当に悔しいです。僕たちはチームとして学びました。ガナッシのマシーンがあまりに速いので僕たちはリスクに賭けましたが、そのくらい本気で勝ちたかったのです。僕たちの戦略が素晴らしいものになるか、それとも最悪の結果を招くことになるかは、あらかじめわかっていました。いずれにせよ、すべてが思いどおりに運ぶことを前提にしてはいけません。どんな状況でも対応できる強さが必要なのです。それでも、僕はチームのパフォーマンスに満足していますし、できることはやりきったと捉えています」
「結果は残念なものでしたが、デイル・コイン・レーシングと臨んだ最初のインディ500で僕たちは素晴らしいポテンシャルを発揮しました。メカニックのみんなとエンジニアたちのことを誇りに思っています。ほろ苦くも楽しい経験となりましたが、素晴らしい奮闘で、僕たちが力強く戦えることを世界中に示すことができました」
NTTインディカー・シリーズではお馴染みのことながら、ここは素早く体勢を立て直し、デトロイトのベルアイル市街地コースで開催される次戦に挑むことにしよう。
written by Marcus Simmons
POS. | DRIVER/TEAM | No | START | LAPS | LL | Status | PTS |
1 | Marcus Ericsson Chip Ganassi Racing |
8 | 02:51:00.6432 | 200 | 13 | Running | 109 |
2 | Pato O'Ward Arrow McLaren SP |
5 | 02:51:02.4361 | 200 | 26 | Running | 87 |
3 | Tony Kanaan Chip Ganassi Racing |
1 | 02:51:04.1605 | 200 | 6 | Running | 78 |
4 | Felix Rosenqvist Arrow McLarren SP |
7 | 02:51:04.7699 | 200 | 0 | Running | 69 |
5 | Alexander Rossi Andretti Autosport |
27 | 02:51:05.6236 | 200 | 0 | Running | 60 |
6 | Conor Daly Ed Carpenter Racing |
20 | 02:51:05.7231 | 200 | 7 | Running | 57 |
7 | Helio Castroneves Meyer Shank Racing |
06 | 02:51:07.2046 | 200 | 0 | Running | 52 |
8 | Simon Pagenaud Meyer Shank Racing |
60 | 02:51:07.7369 | 200 | 0 | Running | 48 |
9 | Alex Palou Chip Ganassi Racing |
10 | 02:51:08.8878 | 200 | 47 | Running | 56 |
10 | Santino Ferrucci Dreyer & Reinbold Racing |
23 | 02:51:10.4761 | 200 | 0 | Running | 40 |
11 | Juan Pablo Montoya Arrow McLarren SP |
6 | 02:51:11.4079 | 200 | 0 | Running | 38 |
12 | JR Hildebrand A.J. Foyt Enterprises |
11 | 02:51:12.2986 | 200 | 0 | Running | 36 |
13 | Josef Newgarden Team Penske |
2 | 02:51:12.4708 | 200 | 0 | Running | 34 |
14 | Graham Rahal Rahal Letterman Lanigan Racing |
15 | 02:51:13.0685 | 200 | 0 | Running | 32 |
15 | Will Power Team Penske |
12 | 02:51:13.9468 | 200 | 0 | Running | 32 |
16 | David Malukas Dale Coyne Racing with HMD Motorsports |
18 | 02:51:14.2715 | 200 | 0 | Running | 28 |
17 | Kyle Kirkwood A.J. Foyt Enterprises |
14 | 02:51:15.2296 | 200 | 0 | Running | 26 |
18 | Christian Lundgaard Rahal Letterman Lanigan Racing |
30 | 02:51:16.9740 | 200 | 0 | Running | 24 |
19 | Ed Carpenter Ed Carpenter Racing |
33 | 02:51:17.2034 | 200 | 0 | Running | 31 |
20 | Devlin Defrancesco Andretti Steinbrenner Autosport |
29 | 02:51:17.4650 | 200 | 0 | Running | 20 |
21 | Scott Dixon Chip Ganassi Racing |
9 | 02:51:18.7670 | 200 | 95 | Running | 33 |
22 | Marco Andretti Andretti Herta-Haupert w/Marco & Curb-Agajarnian |
98 | 02:51:25.8434 | 200 | 3 | Running | 17 |
23 | Sage Karam Dreyer & Reinbold Racing |
24 | 02:50:20.9846 | 199 | 0 | Running | 14 |
24 | Jack Harvey Rahal Letterman Lanigan Racing |
45 | 02:51:18.5006 | 199 | 0 | Running | 12 |
25 | Takuma Sato Dale Coyne Racing with RWR |
51 | 02:51:22.7862 | 199 | 0 | Running | 13 |
26 | Stefan Wilson Andretti Autosport |
25 | 02:51:20.1536 | 198 | 0 | Running | 10 |
27 | Dalton Kellett A.J. Foyt Enterprises |
4 | 02:51:20.2692 | 198 | 0 | Running | 10 |
28 | Jimmie Johnson Chip Ganassi Racing |
48 | 02:40:00.7235 | 193 | 2 | Contact | 12 |
29 | Scott McLaughlin Team Penske |
3 | 02:03:26.7790 | 150 | 0 | Contact | 10 |
30 | Colton Herta Andretti Autosport W/Curb-Agajanian |
26 | 01:51:26.1386 | 129 | 0 | Mechanical | 10 |
31 | Romain Grosjean Andretti Autosport |
28 | 01:26:22.6269 | 105 | 0 | Contact | 14 |
32 | Callum Ilott Juncos Hollinger Racing |
77 | 00:53:49.6095 | 68 | 0 | Contact | 10 |
33 | Rinus VeeKay Ed Carpenter Racing |
21 | 00:26:45.4292 | 38 | 1 | Contact | 21 |
佐藤琢磨、25位でインディ500を完走
2022-05-30
2022年5月29日、インディアナ州インディアナポリス発。
本日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで第106回インディ500が行なわれ、デイル・コイン・レーシング・ウィズRWRのNo.51 Nurtec ODT ホンダを駆る佐藤琢磨は25位でフィニッシュラインを通過しました。
10番グリッドからスタートした琢磨は当初、ややポジションを落としましたが、すぐに挽回を始めます。やがて6番手で周回を重ねるようになると、最初のピットストップを行なうまでこのポジションを守りきり、2回目のピットストップを行なうときにも6番手につけていました。
レース中盤には10番手となったものの、145周目にピットストップを行なうまでには再び順位を上げるなど、琢磨は順調にレースを戦っていきます。ただし、残念ながらこれに続くピットストップで琢磨は13番手に後退してしまいます。
残り43周となったところでチームが賭けに出ました。琢磨をピットに呼び戻すと給油を行なってニュータイヤを装着。そしてレース終盤にイエローが出ることに期待を寄せたのです。
結果的に琢磨は193周目にピットストップを行ないましたが、不運にも、期待していたイエローコーションがやってきたのは、この次のラップのことでした。この結果、琢磨は25位でフィニッシュしました。
佐藤琢磨のコメント
「僕たちにとってはとてもチャレンジングなレースでした。僕たちのマシーンが速くて、信頼性も高いことはわかっていました。僕たちには力強く戦えるチャンスがありましたが、それでも厳しいレースでした。僕たちは6番手まで順位を上げたものの、その後、12番手へと後退します。この時点では、ローダウンフォースのまま挽回するのは不可能な状態でした。僕たちはハードに戦い、チームは5月を通じて素晴らしい働きぶりを示しました。僕たちは最高のレベルで戦いたいと望み、実際にそうしていました。僕たちにはスピードもありましたが、あと少しの幸運が足りませんでした。インディ500で初優勝を果たしたマーカス・エリクソンには心からおめでとうと申し上げます」
(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWRのプレスリリースより)
POS. | DRIVER/TEAM | No | Total Time | Avg Speed |
1 | Scott Dixon Chip Ganassi Racing |
9 | 02:33.8162 | 234.046 |
2 | Alex Palou Chip Ganassi Racing |
10 | 02:34.1761 | 233.499 |
3 | Rinus VeeKay Ed Carpenter Racing |
21 | 02:34.2516 | 233.385 |
4 | Ed Carpenter Ed Carpenter Racing |
33 | 02:34.4532 | 233.080 |
5 | Marcus Ericsson Chip Ganassi Racing |
8 | 02:34.6630 | 232.764 |
6 | Tony Kanaan Chip Ganassi Racing |
1 | 02:34.9243 | 232.372 |
7 | Pato O'Ward Arrow McLaren SP |
5 | 02:34.7022 | 232.705 |
8 | Felix Rosenqvist Arrow McLarren SP |
7 | 02:35.0506 | 232.182 |
9 | Romain Grosjean Andretti Autosport |
28 | 02:35.1729 | 231.999 |
10 | Takuma Sato Dale Coyne Racing with RWR |
51 | 02:35.3935 | 231.670 |
11 | Will Power Team Penske |
12 | 02:35.4846 | 231.534 |
12 | Jimmie Johnson Chip Ganassi Racing |
48 | 02:35.6664 | 231.264 |
13 | David Malukas Dale Coyne Racing with HMD Motorsports |
18 | 02:35.4356 | 231.607 |
14 | Josef Newgarden Team Penske |
2 | 02:35.4541 | 231.580 |
15 | Santino Ferrucci Dreyer & Reinbold Racing |
23 | 02:35.5019 | 231.508 |
16 | Simon Pagenaud Meyer Shank Racing |
60 | 02:35.6590 | 231.275 |
17 | JR Hildebrand A.J. Foyt Enterprises |
11 | 02:35.7684 | 231.112 |
18 | Conor Daly Ed Carpenter Racing |
20 | 02:35.8451 | 230.999 |
19 | Callum Ilott Juncos Hollinger Racing |
77 | 02:35.8707 | 230.961 |
20 | Alexander Rossi Andretti Autosport |
27 | 02:35.9713 | 230.812 |
21 | Graham Rahal Rahal Letterman Lanigan Racing |
15 | 02:36.0022 | 230.766 |
22 | Sage Karam Dreyer & Reinbold Racing |
24 | 02:36.2064 | 230.464 |
23 | Marco Andretti Andretti Herta-Haupert w/Marco & Curb-Agajarnian |
98 | 02:36.2875 | 230.345 |
24 | Devlin Defrancesco Andretti Steinbrenner Autosport |
29 | 02:36.3002 | 230.326 |
25 | Colton Herta Andretti Autosport W/Curb-Agajanian |
26 | 02:36.3620 | 230.235 |
26 | Scott McLaughlin Team Penske |
3 | 02:36.4167 | 230.154 |
27 | Helio Castroneves Meyer Shank Racing |
06 | 02:36.7741 | 229.630 |
28 | Kyle Kirkwood A.J. Foyt Enterprises |
14 | 02:36.9269 | 229.406 |
29 | Dalton Kellett A.J. Foyt Enterprises |
4 | 02:37.2628 | 228.916 |
30 | Juan Pablo Montoya Arrow McLarren SP |
6 | 02:37.4655 | 228.622 |
31 | Christian Lundgaard Rahal Letterman Lanigan Racing |
30 | 02:38.5531 | 227.053 |
32 | Jack Harvey Rahal Letterman Lanigan Racing |
45 | 02:38.6944 | 226.851 |
33 | Stefan Wilson Andretti Autosport |
25 | No Time | 0 |
佐藤琢磨、インディ500で10番グリッドを獲得
2022-05-23
2022年5月22日、インディアナ州インディアナポリス発。
本日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで第106回インディ500の予選2日目が行なわれ、デイル・コイン・レーシング・ウィズRWRのNo.51 Nurtec ODT ホンダを駆る佐藤琢磨は4ラップの平均で231.670mph(約370.672km/h)を記録し、10番グリッドを手に入れました。
予選初日の昨日に12番手となった琢磨は、ポールポジション獲得を決めるファイアストン・ファスト6への進出を賭け、本日のトップ12に挑みました。琢磨は本日も力走を見せましたが、トップ12での結果は、ファスト6進出には一歩及ばない231.670mphというものでした。
このため琢磨は、5月29日に開催される第106回インディアナポリス500に4列目の内側から臨むことが決まりました。
今後は、月曜日に行なわれる2時間のプラクティスに続き、同じく2時間の走行枠が設けられた金曜日のカーブ・デイを経て、日曜日の決勝レースに挑むことになります。
各ラップのスピード
Lap 1: 232.165mph
Lap 2: 231.746mph
Lap 3: 231.450mph
Lap 4: 231.321mph
平均: 231.670mph
佐藤琢磨のコメント
「インディ500のポールデイとなった今日、僕たちはトップ10の結果を残しました。10位という成績は素晴らしいものですが、正直にいえば、僕たちにとって今日は難しい1日でした。予選前の最終プラクティスにあたるファスト・フライデイで、僕たちのマシーンはとてもいい仕上がりを示しました。そこで大きな期待を抱きましたが、土曜日はコンディションに関する計算を誤ったため、やや難しい状況となりました。今日は、予選セッション前のプラクティスに参加し、予選用セットアップを確認したので、できることはすべてやったといえるでしょう。予選10位という結果はやや不本意なものですが、レースはまったく異なる展開となるはずです。いま、僕たちはとてもワクワクしています。僕たちはトラフィックで非常に強力なマシーンを手にしています。まだ、やるべき作業は残っていますが、月曜日のプラクティスとカーブデイでそれらに取り組むことになります」
(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWRのプレスリリースより)
POS. | DRIVER/TEAM | No | Time | Speed |