こんにちは!
佐藤琢磨公式ファンクラブ「Takuma Club」会員の皆様に宛てて発行している
「ニューズレター」の第38号をお届けします。
●日本に帰ってきました!
「みなさん、こんにちは。佐藤琢磨です。いよいよインディ・ジャパンが近づいてきましたね。これに備えて、僕は9月7日の火曜日に帰国。それ以来、プロモーション関係の仕事に追われる日々が続いています。そんな僕の日常を少しだけ紹介すると、9月8〜10日はホンダ関連の仕事やパーソナルスポンサーの打ち合わせを行なった後、11日にはホンダの青山ウェルカムプラザで盛大な壮行会を開いてもらいました。当日はなんと330人の方が詰めかけてくれて、まるでファンクラブミーティングのような雰囲気で始まりました。武藤英紀選手とこれまでのシーズンを振り返りながらトークショーをしたり、スペシャルゲストとしてロジャー安川選手も登場して抽選会や握手会を行なったり、会場はかなり盛り上がりました」
「12日には富士スピードウェイに行ってスーパーGTのイベントに参加する予定になっていましたが、これは先日の台風で土砂災害が起きたため、残念ながらレースそのものがキャンセルとなってしまいました。でも、そのおかげで、今回まだ帰っていなかった実家にちょっとだけ顔を出すことができましたが、この日はディーラーのホンダカーズ神奈川北で壮行会を行なって頂いたので、それほどゆっくりできませんでしたけどね」
「週が明けて月曜日はホンダの栃木研究所を訪問。その後、FM栃木や栃木テレビの番組にゲスト出演しました。続く火曜日と水曜日は都内で仕事をこなし、木曜日にはもてぎに入り、いよいよレースの準備に取り組むことになります」
「今シーズンは、これまで本当に苦戦を強いられてきました。でも、それには一戦一戦、全部にちゃんとした理由があって、そのたびに僕はいろいろなことを学んできました。だから、今季経験したことをもう一度おさらいして、どんな事態になっても対応できるように準備してからもてぎのレースを戦いたい。そして、これまで学んだことを生かして、もてぎでは今季最高のレースを皆さんにお見せしたいと思っていますので、熱い声援をよろしくお願いします!」
●リアのダウンフォースが抜けた?
「それにしても、まだ終わったわけではないけれど、本当に苦しいシーズンでした。先日、チームオーナーのジミー(バッサー)にも言われました。『タクはなんで、こんな厳しい形で試練を受けなければいかないんだ?』って。振り返ってみれば、たしかにありえないようなアクシデントがたくさんありました。最近でいえば、スタート直後にリタイアしたケンタッキー戦が、まさにそれ。アクシデントについてはマーカス・コラムでも少し触れましたが、ここでもう少し、あの事故の原因について説明してみましょう」
「テレメトリーデータが残っているので、事故が起きた過程はかなり詳しくわかっていますし、原因もはっきりしています。それにしても、調べれば調べるほど、様々な要因が複合的に重なった事故であることがわかってきて、僕にとってはとても興味深いというか、もっと正直にいえばショッキングな体験でしたね」
「原因のひとつは、完全に暗くなってからスタートが切られるレースは今回が初めてだったということ。テキサスやシカゴもいちおうナイトレースになっていますが、スタートが切られる時点ではまだ明るくて、走っているうちに暗くなっていくというパターン。もっとも、僕は2レースとも本格的に暗くなる前に戦列を離れていたから、本当の意味でナイトレースを経験したことはなかったんです。ところがケンタッキー戦は、辺りが完全に暗くなった午後9時のスタート。別に暗いこと自体はそれほど大きな問題ではないんですが、日が沈むと路面温度が急激に下がるので、スタート直後はタイアが適正な作動温度域に到達しない。これがアクシデントを招くひとつの要因となったのです」
「もっとも、そのこと自体は僕も予想していなかったわけではありません。だから、スタート直後はものすごく慎重に走った。ターン1からターン2にかけてはまずまずのグリップ感が得られていたけど、これに安心することなく、安全策がとれることはすべてやりました。これがもてぎ直前のレースなので、しっかり走りきって、いい流れを作りたいと思っていたからです。コクピットから操作できるアンチロールバーを、フロントがいちばんハードでリアをいちばんソフトにして、もっともスタビリティの高いセッティングにしていたこともそうだし、前を行くダリオ・フランキッティに追いついて行ったのに、敢えて少し減速をして間隔をとったのもそう。スロットルを70%しか開けていなかったことも、オーバルでは滅多にないことです」
「それでも、まったく突然、まるで氷の上を走っているかのようにマシーンが滑り出して、コントロール不能に陥ってしまった。あのときのマシーンの動きはまったく経験したことがないもので、どうしようもできなかった。そんなアクシデントだったのです」
「そこでレース後にテレメトリーデータを調べたところ、意外な事実がわかりました。あのとき、僕の前には10数台のマシーンが走っていました。当然、ものすごいタービュランス(乱気流)が発生していたはずです。通常、この手のタービュランスに巻き込まれると、マシーンの挙動はとても不安定になりますが、ダウンフォースが減少したとしてもせいぜい100ポンド(約45kg)か200ポンド(約90kg)くらい。ところが、今回は瞬時になんと1000ポンド(約450kg)ものダウンフォースを失ってしまった……。いわゆるエアポケットに入ってしまった状態です。その後ダウンフォースは回復していくんですが、それと比例してエアロバランスがどんどんフロントにシフトしていった。つまり、とてつもないオーバーステアになっていったのです」
「さっきもいったとおり、今回は日没後のスタートだったので、路面温度が低く、タイアが充分に温まっていなかった可能性も考えられます。逆に、もしもタイアが温まっていて充分なグリップを発揮していたら、アクシデントは防げたかもしれません。もうひとつ、僕にとって不運だったのは、前回までのレースで序盤のアンダーステアが強く、このため、ケンタッキーにはほんの少しだけニュートラル傾向に振ったセッティングとしていたことが挙げられます。ひょっとしたら、これも問題をより難しくする一因になっていたかもしれません」
「それにしても結果的にリアのダウンフォースだけが抜けたのは不思議です。これについては、10数台が巻き起こすタービュランスがとても複雑な形になっていて、前のクルマと少し間隔を置いたことが逆に災いしたと推測されます。通常、前のクルマに接近するとフロントのダウンフォースが減少し、アンダーステアに悩まされます。それを嫌って車間を取ったわけですが、非常に珍しい現象ではあるけれど、エアポケットにハマってしまったというわけです。オーバルでは時々起こる現象なんですね」
「いずれにしても、僕にとってはとてもショッキングなアクシデントでした。ただし、そこから学び取れることもあるので、いまは、あのアクシデントがもてぎの前に起きてくれてよかったとポジティブに捉えています」
●プチ夏休み、とりました
「インディカー・シリーズは、F1と違って夏休みがありませんが、それでもレースとレースの合間は少しだけのんびりできます。まして、7月から8月にかけては家族がデンバーにきてくれたので、ちょこちょこっと出かけては“プチ夏休み”を楽しんできました。ロータスのプロモーション・イベントでカリフォルニアのラグナセカというレーシングコースに3日間行ったときは家族も同行して、近くのカーメルという街を訪れました。 カーメルは、俳優のクリント・イーストウッドがかつて市長を務めていたことでも知られていますが、かわいい街並を散策したり、おいしい食事を楽しんだりとたっぷり満喫できました。モントレーの歴史のある水族館の見学も楽しかったです。でも、寒かったなあ。西海岸が寒いなんて疑いもしなかったので、Tシャツとショーツばっかり持って行っていたんですが、地元の人たちは、冬?ってくらい厚手のジャケットを着込んで
いて……。日射しの中は気持ちいいんですが、寒すぎてまるで泳げませんでした。それでも束の間の夏休み、たっぷり楽しんできましたよ!」
●本当に、お待たせしました!
「いや〜、本当にお待たせしました。これまでスタッフ全員で力をあわせて準備してきた新しいウェブサイト、どうにかインディ・ジャパン直前にリニューアルオープンできそうです。旧サイトは一部閲覧できない方がいらっしゃったため、春にプロビジョナル・サイトを急遽立ち上げましたが、今度の新しいサイトは万全です。ムービーコンテンツやスペシャルギャラリーの新コンテンツが追加されたり、ダイアリーの完全ブログ化など、ファンクラブ・メンバー向けのTakuma Clubページも大幅にバージョンアップを果たしました。どうぞお楽しみに!」
●お知らせ
Takuma Clubメンバーで、旧サイトにアクセスできなかったため、会員資格の更新手続きができなかったという方が一部いらっしゃるようです。そういった皆さまは、誠にお手数ですがfanclub@takumasato.com までメールでお知らせくださいますよう、お願い申し上げます。
※各種お問い合わせはfanclub@takumasato.comまでお願い申し上げます。
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