Report
みなさん、こんにちは。毎年ゲストとしてTakuma Club Meetingのお手伝いさせていただいている大谷達也です。
いやー、今回もイベント前の打ち合わせは盛り上がりましたよ。なにしろ、2017年にアンドレッティ・オートスポーツへ移籍することが発表された直後のTCMでしょ? そこで本番では何をテーマにして、どんなお話を皆さんにご披露するかを巡って激論(といったら少し大げさだけど……)が繰り広げられたのです。とはいえ、ファンの皆さんにサービスしたい一心で少しでも多くのことをお話ししたいというのが琢磨君のいつものスタンス。とはいえ、いろいろな事情で話せる内容には限界がありますから、この日はスタッフの方々と相談しながらギリギリの線を探っていく作業を行いました。それでも、話題としてはかなりデリケートというか、ひとつ間違えると誤解を招きかねないこともあったので、「TCMで聞いたことはネットとかに書いちゃダメですよ!」と皆さんにお願いした次第です。もっとも、オフレコ話は絶対に口外しないというのが琢磨ファンの方々の素晴らしいところ。つまり、琢磨君と皆さんの間に深い信頼関係があったからこそ、本番当日はあそこまで踏み込んだ話ができたのです。それにしても、ちょっとヒヤヒヤでしたけどね!(笑)
もうひとつ、このミーティングで話題に上がったのは、AJフォイトさんへの感謝の気持ちを示そうというもの。一部には「AJフォイトが琢磨を切り捨てた」という報道もあったようですが、事実はそんなことではまったくなく、むしろAJフォイトさんは琢磨君と一緒にシボレー陣営に移籍することさえ検討していたとか。そうでなくとも、琢磨君を4シーズンにわたって起用し続け、琢磨君をインディカー初優勝に導いてくれたチームのボスですから、琢磨君がAJに感謝の気持ちを抱いていたのは当然のこと。そこでトークのテーマとして、来季への期待をしっかりと述べると同時に、フォイトさんに「ありがとう」を伝えることが決まったのです。
そんな打ち合わせを終えてからの本番当日。まずは迫力あるオープニングビデオ─これもAJフォイト・レーシングでの4シーズンをダイジェストで振り返る内容でした─が流れると、客席に詰めかけたファンの皆さんもわれわれの意図をくみ取ってくれたようで、会場は感動的なムードに包まれました。ビデオが終わったところで、いつものとおり川崎かおりさんが登場。いやいや、かおりさんがステージに上がるだけで雰囲気がぱっと華やぎますよね。続いて琢磨君がステージに招かれます。今回は落ち着いた色合いのジャケットを着用して登場した琢磨君。うーん、なんだかオトナな感じ。そういえば、いまや琢磨君が姿を見せても黄色い声援が飛び交うということはあんまりなくなったかも。ファンの皆さんも琢磨君と同じように“アダルト”になったということでしょうか(笑)。
琢磨君の挨拶もそこそこに私も呼び込まれて、ステージ上に3人が揃います。そしてHonda Racing THANKS DAYの直後に渡米して来季の準備を進めてきたことなど、まだどこでも紹介されていなかった話題が次々と登場。驚きとも喜びともつかない表情で琢磨君の話に耳を傾けている皆さんの姿が印象的でした。
続いては、こちらも例年どおり動画を用いてシーズンを振り返るコーナー。来年のことが決まって気分が盛り上がっているせいか、琢磨君はいつもにも増して饒舌で、かおりさんも私もほとんど言葉を差し挟めませんでした!(笑)。まあ、ファンの皆さんにはそのほうがよかったと思いますが……。あと、今年は琢磨君がレーザーポイントを使って見どころを解説してくれたのもよかったですね。調子にのって、松本浩明カメラマン(通称:マッチャン)にレーザー照射していましたが、ダメですよ、ああいうのは。危ないんだから(笑)。
最後にAJフォイトで過ごした4シーズンの結果が紹介されましたが、計69戦を戦って優勝1回(2013年ロングビーチ)、それ以外の表彰台が2回(2013年サンパウロ、2015年デトロイト)、ポールポジションは3回(2013年ヒューストン、2014年セントピーターズバーグ、2014年デトロイト)という戦績を聞いて、私は「あれ、もっとたくさん表彰台に上っていなかったっけ?」となんだか不思議な気分に陥りました。これに関して琢磨君は「開幕戦までにいいセッティングを見つけて、それでシーズン序盤に好成績を挙げた」ものの、その後はライバルチームの熟成が進んで苦戦を強いられてきたという解説をしてくれましたが、これが確かにあてはまっているのは2013年と2014年。2015年と2016年の成績は、もっとシーズンを通じて平均的だったような気がします。これはAJフォイト・レーシングが技術力を養い、シーズンを戦いながらもセッティングを進化させていく体制が整ったからなのでしょうが、2015年デトロイトを最後に表彰台から遠ざかってしまったのは、それだけシリーズに参戦するチーム全体のポテンシャルが上がったからなんでしょうね。その結果、AJフォイトのポジションが相対的に後退する格好になったというのが、私の個人的な見解です。
それとともに驚いたのが、今シーズンは琢磨君のリタイアが少なかったこと。それも、4回のリタイア中、メカニカルトラブルなどによるものが3回で、琢磨君のドライビングエラーが原因だったのはインディ500の1回だけでした。こんなところにも、苦しい状況のなかで少しでも成績を残そうとして奮闘していた琢磨君の2016年シーズンが象徴されているように思いました。
この後、TCM直前に渡米し、AJフォイトのファクトリーを訪ねたときのエピソードを琢磨君は披露してくれたのですが、本当に涙なくしては聞けない感動の物語でしたね。チームのエンジニア、メカニック、そしてスタッフのひとりひとりがそんなに琢磨君のことを思っていたのかということがわかって、驚くと同時に嬉しくなりました。やっぱりチームにとっても琢磨君は掛け替えのない存在で、AJが琢磨君を切り捨てたというのが誤報であることを、これで確信できました。え? どんな内容だったかって? うーんと、でも、これもオフレコ話が含まれていることなので、ちょっとご紹介できません。ごめんなさい。でも、来年もきっと超スペシャルな話が聞けると思うので、是非TCMに参加してくださいね!
さらに、アンドレッティ・オートスポーツと契約した経緯が説明されたのですが、ここもオフレコ話満載でしたね!
というわけで詳しいことは書けませんが、私自身は、琢磨君が自分にとってベストなチームを選択したことが理解できてホッとしました。それでも琢磨君はちっともおごることなく「2017年からいきなりチャンピオン争いをするなんて思わないでくださいね。それほどいまのインディカー・シリーズは甘くありませんから」と冷静に来季を展望していました。チャレンジ精神を忘れることなく、でも客観的な視点も持ち合わせている。琢磨君がもはや新人でないことは明らかだけれど、新人の頃と変わらない情熱と、ベテランらしい知性の両方が感じられて、アンドレッティでの今後にいよいよ期待が高まりました。
さて、シーズンの振り返りに続いては、お待ちかねの質問コーナーです。今年もたくさんのご質問、ありがとうございました。その一部を紹介させていただくと「以前、アンドレッティ・モータースポーツに在籍した武藤英紀選手は『車高を極端に低くするエンジニアがいて、彼がセッティングしたクルマに乗ると前が見えなくて苦労する』と語っていましたが、琢磨さんは大丈夫ですか?」
これに対して琢磨君は「あ、そのエンジニアはもうチームから離れたので大丈夫です!」と回答。続いて可愛らしい女の子から「英語はどうやって勉強しましたか?」という質問。ここで「スピードラーニングで勉強しました!」と元気に応えた琢磨君は、続いて「日本人は学校で“読み”“書き”をしっかり勉強するけれど、“聞く”と“話す”は苦手。だから、とにかく話をすることが大事。あとは好きな映画も吹き替え版ではなく字幕版で見たほうが役に立つはず」とていねいに説明してくれました。さらに「アンドレッティ・モータースポーツの残る3人のドライバーとどうつきあっていくか?」という質問には「マルコは大事にします(笑)。ハンター-レイはチャンピオンにもなった偉大なドライバーなので、学ぶべき点がたくさんあると思う。若いアレクサンダー・ロッシは僕のことなんかなんとも思っていないだろうな。いろいろと厳しい意見もあるドライバーだけれど、学ぶべきところは間違いなくある。特にマシンのコントロール能力はものすごく高い」とマジメに答えてくれました。
質問コーナーはこれでおしまい。続いてお待ちかねの抽選会が始まりました。今年も賞品は豪華でしたよ。特に、レプリカではない、琢磨君だけのために作られた公式ウェア、それも着用済みアイテムが「これでもか!」というくらいに大放出。たとえば2015年版ドライバーズTシャツ(ブラックとブルーの2枚)、2015年版ドライバーズパーカー、2016年インディ500大会プログラム(サイン入り)、2016年使用済みヘルメットバイザー、2016年版ドライバーズシャツ、2016年版ドライバーズキャップなどが気前よくプレゼントされたのです。そしていつものように、抽選結果が発表されるたびに、観客席からは歓声とも悲鳴ともつかない声が響き渡りました。
さらにはこちらも恒例のジャンケンコーナー。ここでの賞品がさらにすごい! なんと2016年版レーシンググローブ、2016年版レーシングシューズ、そしてトドメは2016年版ドライバーズ・アンダーウェア(着用済み)というラインナップなんですよ。ジャンケンコーナーは琢磨君の「運任せではなく、自分の力で勝ち取る」というアイデアから始まったもの。それだけに賞品は抽選会よりも豪華になるというわけなんです。
さらにステージ上では琢磨君と参加者全員がワンフレームに収まる記念撮影を実施。続いて、TCMチケット販売のときに予告された「先着50名限定のツーショット写真撮影」があまりに好評で、当初アクセス困難な状況に陥った経緯などを説明。そこで追加で30名にツーショット写真撮影のチャンスをプレゼントすることになり、当選者の方々には当選チケットが座席に貼り付けてあるので確認して欲しいとかおりさんが発表すると、これまた会場は喜びと悲しみの声で騒然となりました。なかには、当選したうれしさで涙を流している方もいたほど。本当に琢磨君ってファンの皆さんから愛されているんですね。
そしてツーショット撮影会に続いては、琢磨君に密着するカメラマン、松本さんによるトークライブ。その質問コーナーでは「松本さんも英語は話せるのか?」「インディとF1、おしいいのはどっち?」「いままで購入した機材でいちばん高いものはなに?」などの問いかけに、マッチャンらしい軽妙な語り口で回答してくれました。そして最後はマッチャンが所属する日本レース写真家協会主催の写真展で製作された“特大琢磨タペストリー”をプレゼントして、このコーナーは終了。最後に琢磨君との握手会を行いつつ、2017年に予定されている「Takuma Club 応援ツアー」の概要を、催行する東武トップツアーズのナマスさんが説明してくれました。
その間にも琢磨君は会場を訪れたファンのみなさんと握手。もちろん、全員に琢磨君の直筆サイン入りカードがプレゼントされました。
最後は琢磨君がファンの皆さんに来年の健闘を約束してイベントは幕を閉じました。その後、楽屋に戻ってきた琢磨君と握手しましたが、何百人もの方々と握手したせいで、手が軽く腫れ上がっていました(涙)。
それでも毎年TCMを開催しようとする琢磨君の根底にあるのは、いつも応援してくださるファンのみなさんに少しでも恩返ししたいという思いです。それをファンの皆さんも知っていてくれるから、毎年TCMは多くの参加者で賑わうんですね。
さて、2017年のTCMではアンドレッティで大活躍した話が聞けるのでしょうか? それとも……。いやあ、本当に楽しみになってきましたね! 2017年も一緒に琢磨君を応援しましょう!!